コロンビア大統領選候補ウリベ氏、遊説中に銃撃され重体―波紋広がる政治的暴力

衝撃の事件発生:選挙遊説中に起きた銃撃
2025年6月8日、コロンビアの首都ボゴタで、来年の大統領選挙に出馬を目指す有力候補であるミゲル・ウリベ上院議員(39)が、選挙活動中に銃撃されるという衝撃的な事件が発生しました。事件はボゴタ西部フォンティボン地区の公園で起き、ウリベ氏は演説中に背後から複数回撃たれ、頭部や膝に重傷を負いました。現場の混乱の様子や、流血したウリベ氏を支える人々の姿がSNSやニュースで拡散され、瞬く間に国内外に波紋が広がりました。
ウリベ氏とは?名門家系と波乱の経歴

ミゲル・ウリベ氏はコロンビアの名門政治家系の出身です。祖父は元大統領フリオ・セサル・トゥルバイ氏、母親のダイアナ・トゥルバイ氏は1991年に武装集団に誘拐され救出作戦中に命を落とした著名なジャーナリスト。ウリベ氏自身は民主中道党に所属し、2026年5月の大統領選挙に向けて治安や法秩序の回復を訴える保守派の有力候補として注目を集めていました。
事件の詳細:未成年容疑者が逮捕
警察や複数の報道によると、銃撃を行った容疑者は15歳の少年で、現場で即座に逮捕されました。容疑者はグロック型拳銃を所持しており、他にも関与者がいる可能性があるとして捜査が続いています。バイクで近づき、徒歩でウリベ氏に接近して発砲したとの証言もあり、計画的な犯行の疑いが高まっています。政府は情報提供者に対し73万ドルの報奨金を提示し、徹底的な真相解明を誓っています。
治療と容体:命をかけた闘い
ウリベ氏は事件直後、現場で応急処置を受けた後、ボゴタ市内の病院に搬送され、脳神経外科および末梢血管の緊急手術を受けました。現地医師団によると、依然として重体であり、予断を許さない状態が続いています。ウリベ氏の家族や支持者は病院前で祈りを捧げ、SNSでも回復を願う声が多数寄せられています。
国内外の反応:暴力への強い非難と民主主義の危機感
事件発生直後から、コロンビア全土のみならずラテンアメリカ各国や国際社会からも強い非難の声が上がりました。ペトロ大統領は「暴力は民主主義の敵」と断言し、事件の徹底解明と関係者全員の摘発を約束。チリやエクアドルなど近隣諸国の首脳も「民主主義に暴力の居場所はない」と声明を発表しました。民主中道党や元大統領ウリベ氏も「国の希望への攻撃」として事件を強く糾弾しました。
コロンビアの政治的暴力の歴史と社会的影響
コロンビアは1980~90年代に大統領候補や政治家が暗殺される事件が相次ぎました。2016年のFARCとの和平合意以降も、政治家や活動家への暴力は完全には収まっていません。今回の事件は、選挙を控えたタイミングで起きたことから、国民の間に再び不安と恐怖が広がっています。SNSや街頭では「暴力の連鎖を断ち切るべき」「選挙の安全を守れ」といった声が相次いでいます。
今後の大統領選と治安への懸念
2026年5月の大統領選挙を控え、今回の事件は治安や政治的安定への懸念を一層強めています。政府は全候補者の警護体制を強化すると発表し、選挙管理当局も「公正かつ安全な選挙の実現」に向けて対策を急いでいます。一方で、事件が国民の選挙参加意欲や民主主義への信頼に影響を与えるのではないかという懸念も広がっています。
市民の声:怒り、恐怖、そして希望
現地やSNSでは、ウリベ氏への支援や励ましの声とともに、暴力への怒りや恐怖、そして平和への強い願いが交錯しています。「コロンビアは暴力の歴史を繰り返してはならない」「民主主義を守るために立ち上がろう」といった呼びかけが広がり、病院前では市民によるキャンドル集会も行われました。
結論:問われるコロンビア社会の選択
ウリベ氏の回復を願う声とともに、事件の背後関係や動機の解明、今後の選挙の安全確保が社会的な課題となっています。コロンビアはこの危機を乗り越え、暴力の連鎖を断ち切ることができるのか。民主主義と平和のために、社会全体がどのような選択をするのかが問われています。