イーロン・マスクとトランプ大統領、決裂の舞台裏と波紋―米政治・経済を揺るがす激突

決裂の発端―税制法案をめぐる対立

みなさん、知っていましたか？かつては協力関係にあったイーロン・マスク氏とトランプ大統領が、今や激しく対立しています。きっかけは、トランプ政権が推進する包括的な税制・歳出法案。マスク氏はこの法案を「不快で忌まわしい」とSNSで痛烈に批判し、特に電気自動車（EV）への税額控除撤廃がテスラに大打撃を与えると強調しました。トランプ大統領は「イーロンには非常に失望している」と述べ、政府契約の打ち切りまで示唆。両者の関係は急速に冷え込んでいます。

SNSでの応酬と個人攻撃―決裂は決定的に

この数日間、両者はそれぞれのSNSで激しい応酬を繰り広げています。トランプ氏は「恩知らずだ」とマスク氏を非難し、政府の補助金や契約を打ち切ると発言。マスク氏も「自分がいなければトランプは選挙に勝てなかった」と投稿し、トランプ氏の弾劾を求める声にも同調しました。さらに、エプスタイン事件の文書にトランプ氏の名前があると示唆するなど、個人攻撃もエスカレート。これまでにないほど両者の溝は深まっています。

経済・市場への影響―テスラ株と暗号資産が急落

この対立の影響は経済にも波及しています。6月5日、テスラ株は14%以上も急落し、時価総額は約1500億ドル減少。スペースXの宇宙船「ドラゴン」の運用停止発言もあり、米国の宇宙開発計画にも不安が広がっています。さらに、暗号資産市場も大きく反応し、ビットコインは4%下落して10万ドルを割り込む危機に。コインベースなど関連株も軒並み下落し、投資家の不安が高まっています。

共和党と政界の動揺―分裂と新たな動き

今回の対立は、共和党内にも波紋を広げています。マスク氏は2024年の大統領選でトランプ氏を含む共和党候補に約3億ドルを寄付した実績がありますが、今は強硬な批判者へと変貌。トランプ氏は「マスクは法案の詳細を理解していた」と反論しつつも、今後の関係継続には否定的。共和党内ではトランプ支持派とマスク支持派に分裂する動きも見られ、2025年の大統領選に向けて政界の力学が大きく変わりつつあります。

専門家・市場関係者の見方―米国経済と技術の未来は？

市場関係者は「この二人の対立が米国の景気刺激策や技術政策の行方に大きな影響を与える」と指摘。特にEV税額控除の撤廃は、テスラだけでなく米国のクリーンテック産業全体に打撃を与える懸念が出ています。また、マスク氏が主導した政府効率化省（DOGE）にも批判が集まっており、今回の対立は経済政策の根幹にも関わる問題として注目されています。

暗号資産と新たな対立軸―金融市場の波乱

今回の対立は暗号資産市場にも新たな火種を投下しました。トランプ氏はマスク氏の主張を「正気を失った」と切り捨て、マスク氏は米国の財政赤字拡大を強く批判。ビットコインやソラナなど主要コインは5%以上下落し、投資家心理は冷え込んでいます。米国の金融政策や規制の行方にも注目が集まり、世界中の市場が緊張感を高めています。

今後の展望―米国社会と世界への波及

この激しい対立は、米国社会全体に大きな影響を及ぼしています。SNSでは#MuskVsTrumpがトレンド入りし、若年層はマスク氏、中高年層はトランプ氏を支持する傾向が強まっています。今後も両者の応酬や新たな暴露、法的争いが続く可能性が高く、米国の政治・経済・テクノロジーの未来を占う重要な局面となっています。日本を含む世界各国も、この動向から目が離せません。