ハマスが米国停戦案に前向き回答、ガザ停戦へ高まる期待と複雑な現実

Jul 6, 2025

国際, 中東, 政治

ハマスが米国停戦案に前向き回答、その背景は？

皆さんはご存じでしたか？2025年7月4日、パレスチナのイスラム組織ハマスが、アメリカが提示したガザ地区での60日間の停戦案に対し「前向きな回答」を仲介国に伝えたと発表しました。数カ月ぶりの大きな進展に、ガザ停戦への期待が一気に高まっています。ハマスは「全ての真剣さをもって、この枠組みを実施するための新たな交渉に直ちに入る完全な準備ができている」とも表明し、即時協議入りの意欲を見せました。

トランプ大統領とイスラエルの動き、米国主導の停戦案の中身

トランプ米大統領はSNSで「イスラエルは60日間の停戦を実現するための必要条件に合意した」と投稿し、イスラエル側も米国案に前向きな姿勢を示しています。今回の停戦案では、60日間の停戦期間中にハマスが10人の生存するイスラエル人質を解放し、18人の遺体を返還することが盛り込まれています。恒久的な停戦が成立した場合には、残りの人質も段階的に解放される予定です。米国、カタール、エジプトなどが仲介役となり、和平への道筋を模索しています。

イスラエルの反発と交渉の現実、ハマスの修正要求

一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマス側が停戦案に複数の修正を求めていることを「受け入れがたい」と批判しています。ハマスの要求には、停戦期間終了後も完全な戦闘終結で合意するまで協議を継続する保証や、ガザでの支援物資配給を米国主導の「ガザ人道財団」ではなく国連主導に戻すこと、さらにイスラエル軍の部隊を今年1月の停戦時の位置まで撤退させることなどが含まれています。イスラエル側はこれに反発しつつも、カタールでの交渉継続を表明し、事態は流動的です。

ガザの人道危機と停戦への切実な期待

現地ガザの人道状況は日に日に悪化しており、2025年3月時点で双方合わせて犠牲者は5万人を超えています。特に女性や子ども、高齢者、病気や怪我を抱えた民間人が深刻な被害を受けており、国際赤十字や国連などが支援活動を続けています。停戦が実現すれば、支援物資の大規模搬入や医療・生活インフラの回復が期待されますが、60日間という短い期間で十分な改善ができるかは不透明です。

人質解放と停戦の条件、交渉の舞台裏

停戦案の最大の焦点の一つが人質解放です。現在、ガザには約50人のイスラエル人人質が拘束されており、そのうち生存者は半数未満とみられています。今回の案では、まず10人の生存者と18人の遺体が段階的に返還される見通しですが、イスラエル国内では「全員解放でなければ受け入れられない」との声も強く、家族らの抗議活動も続いています。交渉はカタールやエジプトを舞台に、間接的な形で進行中です。

停戦実現への課題と国際社会の視線

ハマスとイスラエル双方の要求や不信感は根強く、停戦合意への道のりは依然として険しいままです。イスラエルはハマスの武装解除や再武装防止を重視し、ハマスは恒久的な戦闘終結の保証や人道支援の拡充を求めています。国際社会はこの動きを注視し、EUやアラブ諸国も積極的に関与していますが、根本的な対立解消には至っていません。皆さんは、この停戦交渉が本当にガザの平和につながると思いますか？

今後の展望とガザ住民の声

7月7日にはネタニヤフ首相がホワイトハウスでトランプ大統領と会談予定であり、今後数日が停戦実現の大きな山場となりそうです。ガザ住民の多くは「一日でも早く戦闘が止まってほしい」と切実に願っていますが、過去の停戦が短期間で崩壊した経験もあり、慎重な見方も少なくありません。現地からは「子どもたちに普通の生活を取り戻してほしい」「家族と再会したい」という声が絶えません。