AMD、次世代AIチップMI350・MI400を発表!NVIDIAに挑戦する革新の全貌

サンノゼでの歴史的発表:AMDのAI戦略が加速
2025年6月12日、サンノゼで開催されたAdvancing AIイベントでAMDが次世代AIチップを正式発表しました。CEOのLisa Su氏はOpenAI、Meta、Microsoftなどのパートナーと共に登壇し、MI350シリーズと2026年登場予定のMI400シリーズを公開。業界の注目が集まる中、AMDはNVIDIAが独占するAIアクセラレータ市場に本格参入する意志を強く示しました。
MI350・MI355X:圧倒的な性能とコスト効率

MI350シリーズは、前世代比でAI計算能力4倍、インフェレンス性能35倍という飛躍的な進化を遂げています。特にMI355Xは288GBのHBM3Eメモリを搭載し、NVIDIAのBlackwell(192GB)を上回る大容量。大規模言語モデルや生成AI用途に最適化され、1ドルあたり生成トークン数はNVIDIAのB200やGB200より最大40%多いとされています。クラウドプロバイダーやエンタープライズAIの導入も既に始まっています。
HeliosラックとMI400:ハイパースケールAIの未来像
AMDはMI400シリーズとHeliosラック型AIインフラも披露。Heliosは数千基のMI400 GPUを一体化し、世界最大級のAIデータセンター向けに設計されています。MI400は432GBのHBM4メモリと19.6TB/sの帯域幅を備え、2026年に登場予定。NVIDIAのVera Rubinラックに対抗するAMDの切り札であり、CPUやネットワークも含めた総合設計が特徴です。
オープンエコシステムとパートナー戦略
AMDの強みはオープンなAIエコシステム構築にあります。Meta、OpenAI、Microsoft、Oracle、xAIなどと連携し、業界標準かつ柔軟なソリューションを推進。OpenAIのSam Altman氏はMI350導入を明言し、MetaもLlamaモデルの推論にAMDチップを採用。MicrosoftはCopilot AIでAMDを活用しています。NVIDIAのクローズドな戦略とは対照的に、幅広い開発者・企業の支持を集めています。
ROCm 7.0とDeveloper Cloud:AI開発を加速
ハードウェアだけでなく、AMDはROCm 7.0という最新のオープンソースAIソフトウェアスタックも発表。推論性能は前世代比4倍、学習性能は3倍に向上。さらにAMD Developer Cloudを開始し、開発者はMI300やMI350 GPUをクラウド経由で利用可能となりました。これによりスタートアップや研究者も最先端AIに簡単にアクセスできる環境が整いました。
市場の反応と株価動向
発表翌日の6月13日、AMD株は118.50ドルで取引終了し2.2%下落。年初来ではほぼ横ばいですが、NVIDIAに比べて出遅れ感がある一方、MI350・MI400の性能とコスト効率が評価され、今後の成長期待が高まっています。主要証券会社もAI分野でのAMDのシェア拡大を予想しています。
今後の展望:AMDはNVIDIAを超えるか?
NVIDIAが依然としてAI市場で圧倒的なシェアを持つ中、AMDは効率性・オープン性・パートナー戦略で急速に追い上げています。MI355Xのコスト優位性やHeliosラックの統合設計は大規模AIクラスタ構築に最適。AIチップ売上は2025年に130~150億ドル規模を見込み、MI400登場でさらに加速が期待されます。投資家や開発者にとって、AMDの次の一手から目が離せません。
もっと見る

テスラ モデルS・モデルX 2025年米国アップグレード徹底解説:静粛性・快適性向上と5,000ドル値上げの真相
テスラが米国でモデルS・モデルXの2025年モデルをアップグレード。静粛性や快適性、デザインを強化しつつ、価格は全グレードで5,000ドル値上げ。市場やユーザーの反応も交えて詳しく解説します。

中国デフレ懸念が再燃、2025年6月の経済現場で何が起きているのか?
2025年6月、中国の消費者物価指数は4カ月連続でマイナス。内需低迷、不動産不況、対米輸出急減がデフレ圧力を強め、追加の金融緩和や政策の行方に注目が集まっている。