スターボード・バリューがトリップアドバイザー株9%超を取得、株価17%急騰と市場の期待

スターボード・バリューはなぜトリップアドバイザーに注目したのか?
皆さんは、アクティビスト投資家が突然企業の大株主になる理由を考えたことがありますか?2025年7月、米国の著名なアクティビストファンドであるスターボード・バリュー(代表:ジェフ・スミス)が、トリップアドバイザーの株式を9%超取得したことが明らかになりました。取得額は約1億6000万ドル(約230億円)とされ、同社の主要株主の一角に躍り出ました。トリップアドバイザーはここ1年、複数の買収提案を拒否し、株価も低迷していましたが、スターボードは「現状は過小評価されている」と判断し、大きな変革の可能性に賭けたのです。
株価はどう動いた?17%の急騰と投資家の熱狂

このニュースが伝わると、トリップアドバイザーの株価は瞬く間に17%も急騰し、15ドル台から17.5ドル台へと大幅上昇しました。時間外取引でも7〜10%の上昇が見られ、出来高も急増。年初来でわずか1.5%しか上昇していなかった同社株は、たった数日で34%ものリターンを記録しました。これにより、投資家や市場関係者の間では「経営改革や事業再編が進むのでは」との期待が一気に高まりました。
スターボードの狙いと今後のシナリオ
スターボード・バリューは単なるパッシブ投資家ではありません。過去にも米国の大手企業で経営陣への提言やコスト削減、事業再編を主導してきた実績があります。今回のトリップアドバイザー株取得も、経営陣や取締役会と積極的に対話し、企業価値向上のための改革を促す狙いがあると見られています。特に、急成長中の子会社ViatorやTheForkの事業拡大や、コア事業の効率化が注目ポイントです。昨年のLiberty Tripadvisor Holdingsとの合併による株式構造の簡素化も、今後の戦略的な動きにプラスに働くと考えられています。
トリップアドバイザーの課題と成長のカギ
一方で、トリップアドバイザーには課題も山積しています。主力の旅行レビュー・予約事業は2024年に8%減収となり、競合のBooking.comやAirbnb、Google Travelなどに押され気味です。Viator(体験予約)やTheFork(レストラン予約)は2桁成長を維持していますが、全体の業績を牽引するにはまだ力不足。平均予約単価の下落やキャンセル率の上昇、旅行需要の不安定さなど、経営環境は決して楽観できません。スターボードがどのような具体策を打ち出すか、市場は注視しています。
アメリカ市場におけるアクティビスト投資の文化的背景
米国の株式市場では、アクティビスト投資家の存在が企業改革や株主価値向上の推進力として広く認知されています。2025年現在、アクティビストは敵対的な買収や公開プロキシファイトよりも、経営陣との協調や取締役会への参画を重視する傾向が強まっています。スターボードも、直近ではケンビューやオートデスクなどで取締役会入りや経営改革を実現しており、トリップアドバイザーでも同様のアプローチが期待されています。
投資家心理:期待と慎重さが交錯
投資家の間では、今回のスターボード参入により「買い」や「ホールド」推奨が増え、目標株価も16〜17ドル台に引き上げられています。一方で、PER(株価収益率)は業界平均を大きく下回る7.9倍にとどまり、市場は依然として本格的な業績回復には懐疑的です。スターボードは理論株価を34ドルと見積もっていますが、実現には事業構造改革や収益性向上が不可欠。今後は第2四半期決算やスターボードの具体的な提案内容が注目されます。
日々の株価変動:数字で見るトリップアドバイザーの今
7月2日の終値は14.99ドルでしたが、スターボードのニュースを受けて7月3日には17.50ドル(+17.3%)へ急騰。その後も一時18.70ドルまで上昇し、年初来で19.6%のプラスとなりました。これはAirbnb(+4.6%)、Expedia(-5%)を大きく上回り、Booking Holdings(+15%)も凌駕。出来高も通常の3倍に膨らみ、市場の注目度の高さがうかがえます。
今後の展望:スターボードの賭けは成功するか?
スターボード・バリューの1億6000万ドル投資は、トリップアドバイザーの将来に対する強い信念の表れです。コア事業の再建や子会社の成長加速、コスト削減などが実現すれば、さらなる株価上昇も期待できます。しかし、競争激化や旅行市場の不安定さ、改革の実行リスクも無視できません。今後数ヶ月、スターボードの動きとトリップアドバイザーの業績発表から目が離せません。皆さんはこの変革の波にどう向き合いますか?
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