メキシコ史上初：全裁判官を国民投票で選出する革命的司法改革が実現

世界初の司法革命：メキシコの前例なき民主的実験

2025年6月1日、メキシコは世界史に新たな1ページを刻むことになります。世界で初めて、すべての裁判官を国民投票によって選出する国となるのです。この革命的な選挙プロセスにより、メキシコ国民は最高裁判所の9名の判事を含む881の連邦司法ポストの候補者を選ぶことができ、前例のない民主的実験として世界中の注目を集めています。

この変革の規模は驚異的です。最高裁判所の判事から地方・州裁判所の裁判官まで、約2600名の現職裁判官が職を離れ、選挙で選ばれた候補者に交代することになります。さらに4000の司法ポストが2027年に選挙対象となり、これまでどの国も試みたことのない最も包括的な司法制度の再構築が完成します。

この革命的変化は、2024年9月にアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール前大統領の下で可決された憲法改正に由来します。同氏は、裁判官の選挙が腐敗を排除し、司法を国民の利益により近づけると主張しました。この改革はメキシコの法的景観を根本的に変え、大統領による指名と議会による承認のシステムを直接国民投票に置き換えました。

政治的起源：AMLOの司法民主化ビジョン

司法改革は、メキシコ史上特異な政治的瞬間から生まれました。6年間の任期を通じて、ロペス・オブラドール大統領はメキシコ司法制度の声高な批判者であり、裁判官を不釣り合いな給与を持つ特権階級として一貫して描き、一般国民ではなくエリートの利益に仕えていると主張しました。

ロペス・オブラドールの裁判所に対する不満は、深く個人的かつ政治的なものでした。裁判官は彼の主要インフラプロジェクトや選挙、エネルギー、安全保障分野の改革を含む彼のイニシアチブを繰り返し阻止しました。この絶え間ない司法の反対が、国民投票を通じてシステム全体を再構築する決意を固めさせました。

前大統領の物語は、司法を腐敗し、一般市民から切り離されたものと見なすメキシコ社会の一部に響きました。全国の裁判官を国民投票で選出するという彼の提案は、司法を国民の利益により近づける解決策として提示され、司法の独立性と法的専門知識の伝統的概念を根本的に挑戦しました。

憲法変革：変化のメカニズム

2024年のメキシコ司法改革は、国の司法制度を完全に再構築した一連の憲法修正を表しています。この改革は、議会によって事前選出された裁判官が国民投票で選ばれるシステムでメキシコの任命ベースのシステムを置き換え、各裁判官は更新可能な9年間の任期を務めます。

主要な規定には、最高裁判所の判事数を11名から9名に削減し、その任期を15年から12年に制限することが含まれます。改革はまた、6年間の単一任期を務める国民投票で選出される5名のメンバーからなる新しい司法規律法廷を設立し、連邦司法評議会に代わります。

候補者として適格であるためには、個人は出生によるメキシコ市民でなければならず、重大な犯罪歴がなく、最低8.0の成績平均を持つ法学位を保持し、少なくとも5年間の関連する専門経験を有する必要があります。候補者はまた、法的トピックに関するエッセイを提出し、5通の推薦状を提供しなければなりません。国家選挙機関がこれらの司法選挙を監督し、公的・私的資金調達、メディア空間の購入、政党キャンペーンに対する厳格な禁止があります。

分裂する世論：支持と反対の衝突

メキシコの世論は司法改革について深く分極化したままです。2025年2月から3月にかけて実施されたピュー研究センターの調査によると、メキシコ人の66%が裁判官を国民投票で選出することを要求する政策を承認しており、31%が強く承認しています。

支持は政治的所属と強く相関しています。与党MORENA党とその同盟パートナーの支持者の間では76%が政策を承認している一方、非支持者では54%となっています。承認は若い成人の間でやや高く、18-34歳の71%が変化を支持している一方、50歳以上では60%となっています。

批判者は、改革が司法の独立性を脅かし、裁判官を政治的影響力と組織犯罪に対して脆弱にする可能性があると主張しています。法律専門家、弁護士会、国際機関は、5年間の法的経験が司法能力には不十分であると警告し、この措置を広く拒否しています。2024年の議会承認時には大規模な抗議が起こり、デモ参加者が上院に突入し、数千人の司法職員が下院の外で抗議しました。

国際的懸念：世界的精査と外交的緊張

司法改革は重大な国際的注目と批判を集めています。バイデン政権はその反対を率直に表明し、トランプ大統領の新任大使はメキシコへの外国投資への潜在的損害について懸念を示しています。

世界中の憲法学者、司法専門家、選挙ガバナンス専門家がこの前例のない実験を注意深く監視しています。多くは、改革が法の支配を損ない、類似の変化を検討している他の国々にとって危険な先例を設定する可能性があることを懸念しています。

国際機関と多国間機関は、正義の潜在的政治化について懸念を表明しています。批判者は、改革がAMLOとMORENA党による民主的制度を侵食するより広範なキャンペーンの一部であり、選挙機関への変更と公共問題における軍事的影響力の増大を含んでいると主張しています。世界的法律コミュニティは、このモデルが公衆に対する説明責任を確保しながら司法の独立性を維持できるかについて懐疑的なままです。

6月1日選挙：候補者と物流

来る6月1日の選挙は、司法ポストを争う圧倒的な数の候補者を特徴とします。投票用紙には、9つの最高裁判所議席に64名の候補者、5つの司法規律法廷ポジションに38名の候補者、17の連邦選挙法廷判事ポジションに110名の候補者、そして850の巡回判事・地方裁判官ポジションに3000名以上の候補者が含まれます。

さらに、19州が約2000のポジションを持つ州レベルの司法選挙を実施します。この大規模な選挙事業は、これほど多数の司法官僚を同時に選出しようと試みた国がこれまでなかったため、メキシコの選挙管理にとって前例のない物流上の課題を提示します。

選挙の規模にもかかわらず、投票率は低いと予想されます。独立調査は、適格有権者の約3分の1のみが参加することを示唆しており、プロセスと候補者の資格に対する公衆の不確実性を反映しています。現職最高裁判事の大多数を含む多くの現職裁判官が抗議として参加を拒否し、移行をさらに複雑にしています。

将来への影響：メキシコの民主的実験

メキシコの司法選挙実験は、国の民主的制度と法の支配に広範囲にわたる影響を与えるでしょう。支持者は、選出された裁判官が市民に対してより説明責任を負い、司法における腐敗とエリート主義に対する公衆の懸念により敏感になると主張しています。

しかし、批判者は、改革が裁判所の政治的捕獲を促進し、懲罰的ポピュリズムを定着させる可能性があると警告しています。直接選挙後に裁判官の独立性が増加するか減少するかという問題は、重大犯罪に対する高い不処罰レベルが広範囲な暴力に貢献しているメキシコでは特に重要です。

メキシコがすべての裁判官を選出する世界唯一の国となるにつれ、国際社会は結果を注意深く観察するでしょう。司法民主主義におけるこの前例のない実験は、法制度の改革を求める他の国々のモデルとして機能するか、司法の政治化のリスクについての警告的物語として立つかもしれません。メキシコのアプローチの成功または失敗は、今後何年にもわたって世界中の司法改革と民主的ガバナンスに関する議論に影響を与える可能性があります。