コインベース、SECのユーザー数調査を認める──株価は7%急落、規制とサイバー攻撃の二重苦

SEC調査認定でコインベースに再び注目
皆さんは知っていましたか?米最大の暗号資産取引所コインベースが、過去にユーザー数を誇張していた疑いで米証券取引委員会(SEC)の調査を正式に認めました。SECの調査はバイデン政権下で始まり、現在の政権下でも継続中です。調査の焦点は、コインベースがかつて報告していた「1億人超の認証済みユーザー」という指標。この指標は2021年の上場時に強調されましたが、約2年前に報告を中止しています。SECはこの数字が実際のユニークユーザー数を正確に反映していたのかを精査しています。
SECが問題視した「認証済みユーザー」とは?
コインベースが以前公表していた「認証済みユーザー」とは、メールアドレスや電話番号を認証した人を含む数字で、必ずしもアクティブな利用者やユニーク顧客を示していたわけではありません。SECは、この数字が投資家や市場に誤解を与えた可能性があると見て調査を進めています。コインベースは現在、「月間取引ユーザー数」など、より実態に近い指標を開示しています。最高法務責任者のポール・グレワル氏は「調査は2年以上前に廃止した指標に関するもので、完全に開示していた」と強調しています。

コインベースの対応と法的戦略
コインベースはSECの調査に全面的に協力する姿勢を示し、著名な法律事務所デービス・ポーク・アンド・ウォードウェルの支援も受けています。グレワル氏は「この調査は継続すべきではないと確信しているが、問題解決のためSECと協力する」と述べています。会社はまた、今後も透明性を重視し、実際の利用状況を反映する指標の開示を続ける方針です。
株価への影響と投資家の反応
SEC調査のニュースは、コインベースの株価に大きな衝撃を与えました。2025年5月15日、COIN株は前日比6.6%安の244ドル台で取引を終えました。これは、同日に明らかになったサイバー攻撃による顧客情報流出のニュースと重なったため、投資家心理にさらなる不安をもたらしました。一部アナリストは「市場の反応は過剰」と指摘しますが、規制リスクとセキュリティリスクの二重苦が株価を押し下げた形です。

サイバー攻撃とその余波
コインベースはサイバー攻撃により一部顧客情報が流出し、ハッカーから2000万ドル相当の身代金要求を受けたことも発表しました。影響を受けたのは月間取引ユーザーの1%未満とされていますが、被害額は最大4億ドルに上る可能性があります。コインベースは身代金の支払いを拒否し、逆にハッカー情報提供に報奨金を設定するなど、強硬かつ透明な対応を取っています。
米国規制と暗号資産業界の文化的背景
コインベースはこれまでにもSECとの間で複数の法的争いを経験してきました。今回の調査は、暗号資産業界全体に対する規制の強化と透明性の重要性を象徴しています。特に若い世代やテック志向の投資家にとって、コインベースは伝統金融とデジタル資産の架け橋的存在です。S&P500への編入という快挙の裏で、同社は今後も規制当局との対話と信頼構築が求められます。
今後の展望と市場への影響
コインベースはSECとの協力を続け、問題の早期解決を目指しています。投資家の間では、今回の株価下落を買い場と見る声と、引き続き慎重姿勢を取る声が分かれています。規制当局の動向やセキュリティ対策の強化が、今後の株価や業界全体の信頼性に大きな影響を与えるでしょう。
日々の価格変動まとめ
2025年5月15日、コインベース(COIN)の株価は前日比6.6%安の244ドル台で取引を終えました。日中最大で9%近い下落も記録し、市場の不安定さが際立ちました。今後もSEC調査やサイバー攻撃への対応次第で、株価の変動が続く可能性があります。